後編は今週末に間に合うようにがんばりますぅ
ひとまずできたとこまで~~
12日にいただいたメッセージのお返事は12日の日付からどうぞ~~
流れちゃってすみません~~~(;ωノ|柱|。。。
いきなり病室に飛び込んできたのは、血相を変えた火影だ。
依頼をなんとか無事に果たし、あわや、という怪我を負った暗部筆頭は、綱手の計らいもあって木の葉病院の個室で傷を癒やしていた。
「…見つからんのか…?おまえでも…?」
人目がないときの鴉の口調は至ってぞんざいだ。火影自身が部下をおっちゃん呼ばわりしているのだからこれはお互い様といえばお互い様なのだが。
「…今、先生ってば俺のチャクラが満タンだから、先生の気配が薄くってさ…おまけに気配を消すのはもう、神業ってか…本職だから…」
―――――ま、元暗部の天才…ただでさえ薄くなってる気配を本格的に切ってたら、仙人モードでも見つけられない…ってことか…
鴉は何ともいえない顔で肩をすくめた。
「…お前…今度は何をやらかしたんだ。」
「やらかしたって…人聞きの悪りぃ。センセがばあちゃんの診察うけるってからつきそおうとしただけだってばよ。」
「…付き添いがいる年でもないだろうが。」
――――お前はカカシのかーちゃんか、という突っ込みは言わないでおく。
ナルトが口をつぐんだところを見ると、それ以外にもなにやら事情があるらしい。
「と、とにかく…センセの気配を見つけたら教えてくれってばよ!」
「…一応聞いておく。」
「……それが上司に対する暗部筆頭の答えなんだもんなぁ…」
「…火影命令なのか…?それは」
「…とんでもねぇ。人生経験の浅い小僧っ子のたってのお願いだってばよ」
「……なら人生の先輩として教訓をたれてやろう。」
ゆっくりと顔を上げた鴉に、珍しくナルトは腰が引けている。
「てめぇの恋愛沙汰に無関係の人間を巻き込むな!」
「りょ~~~かいだってばよ~~~」
間延びした声を残してナルトが瞬身で消えた後、ベッドの、入り口とは反対側の脇を見下ろした。
「…おまえもだ。」
ローソファの背もたれを平らに倒して、平然と寝そべっていちゃパラを開いていた上忍師は、ん?と片目を開いた。
あきれたことにまるで木石のように気配がない。
こうして目にしているからそこにいるのはわかるが、寝そべっていてもあるはずの存在感を完璧に「無」にしている。
あの火影に、ここまで近くに寄られながら気づかせもしない。
「だいたいから、なんで貴様まで俺の病室に潜り込むんだ。わかってるのか…」
(俺はおまえを一度は……)
飲み込んだ言葉に気付いたのか否か、カカシはよっこらしょ、とのんびりした動作で起き上がる。
いつもの上忍服ではなく、暗部の袖無しとトラウザースという格好は、いつも年齢不詳のカカシをよりいっそう若く見せていた。
額宛も外したままのカカシの、左頬をはしる傷を見るとはなしに見ていた鴉は、カカシにベッドの上に上がってこられて目をむいた。
「…何してる…」
「…何してるって…ベッドの端っこ、借りようと思ってね。」
「……借りる…?!」
「ソファは、堅くて寝心地が悪いんだよ。ナルトは当分戻らないだろうから、ちょっと休ませてもらおうかと…」
脇腹の傷さえもう少し回復していたら、きっと鴉はこの飄々とした男に蹴りを食らわせていただろう。
どこの世界に自分を強姦しようとした男のベッド(病室の、とはいえ)に潜り込む人間が居るというのだ。
鴉のあきれかえった視線に気付いたのか、カカシは起用に肩をすくめて、
「あんた、ここでは気配を消してないだろう。あんたの気配、あいつは慣れてないからな、俺の気配が紛れやすいんだよ。ここに居ると楽だから、ま、ちょっとの間、辛抱してちょうだいよ。」
そう言って平然と寝転がる。
「…何か言いたいことがあるなら早く言ってよ。俺、もう寝ちゃうから。」
この言い分に鴉は頭を抱えそうになった。
が、ここに居たがる理由自体を聞いていない、と、鴉は本当に寝かけているカカシの肩をつかみあげた。
「あの小僧、何をやらかしてそんなにおまえを怒らせたんだ…?」
そう聞かれたカカシはちょっと目を見開いた。
「怒ってるってわけじゃないけどね。面倒くさくってね。いろいろと。」
何が面倒くさいのか、話す気はないらしく、ころんと丸まったまま、背を向けてしまった。
鴉は、自分は信用されているのか舐められているのか、微妙なところだな、と、再び深いため息をついた。