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2009 *06 06 昨日の続き…memo小話第三話

昨日から連続の拍手、ありがとうございます♥
話がちゃんと進むかどうか、綱渡り状態です…(笑)

ちょっと今回は後二回で終わらせなきゃ、というのでなんか微妙に難しかったです(笑)

前ふりする気力もないな…(笑)

なんとか、明日、完結…

します!! (言いきった(笑))

小話として載せた分もファイルにして、前後篇位に…
仕立て直してあげます…

きりのいいところにならないですけど、よろしくお願いします~~~

では~~
どぞ♥


後輩のお仕事 3


驚いたことに、カカシの班にもアスマの班にも戦死者は一人も出なかった。


引き揚げるぞ、と、合図を送り、半ば呆然としている、作戦のある意味「失敗」の原因になった中忍たちの頬を張り飛ばして、アスマは喝を入れた。

「どこまで班長の足をひっぱりゃ気が済むんだ、貴様らは。もう何もせんでいいから生きて帰ることだけを考えてろ!」

「で、でも、猿飛上忍…はたけ上忍が…」

言われるまでもなく、カカシのチャクラがもうほとんど残っていないのはアスマも気づいていた。


「無茶しやがって…」
「あーしょうがないね、先行って…」
「本気か…?」
「…うん、ちょっと休んでいく…」

傍目にはすべてをあきらめたように見える言動だったが、アスマには、カカシに何か算段があるらしいのに気づいた。

─あの小僧…か…?

アスマはもちろん、テンゾウがカカシに何か飲ませたのを覚えている…

しかし、ここでそれが何の役に立つのか想像がつかない。


その時、必死で食い下がったのはカカシにチャクラを使い果たさせる原因になった中忍たちだった。

「猿飛上忍…!班長は俺達で運びます!おいてったりしないでください…!」
「馬鹿なことをいってねーで、おめぇらは自分のことだけを考えてろ!」
「そんなわけにいきません…!」
「俺たちゃ、カカシさんを置いてくのなら、ここを動きません…!!」
「…上官命令でもか…?」
「………!!」
「………!!」

中忍たちは息をのんだが、必死の形相で…言い募った。

「お、俺たちは、カカシさんの冷たい体を探しに戻るのは絶対いやです…!」
「こ、ここで、カカシさんの楯にでもなって、時間を稼ぎます!」

おめぇらでは時間稼ぎにもならねぇよ、という無情な言葉を飲み込んで、アスマはカカシの方を見やった。

こいつらはこいつらで、的外れの能無しだが、カカシを慕っているのは間違いがないのだ。

碌な戦闘経験も命のやり取りもない者が、自分の命を盾にする、と、言い出すのには、それなりの覚悟が必要なのは、アスマにも、カカシにも、もちろんわかっていた。


結局、カカシが折れた。


動きの鈍くなった体を、ゆっくり起こし、かがんだ男の首に手を回す。

と、

「お前、後ろに回れよ。班長は俺が運ぶ。お前じゃ体力がもたねぇだろうが!」

中忍の一人が仲間にそんなことを言い出した。

「馬鹿言うな!身長が近い方がカカシさんが楽だ!」
「俺なら抱えられる!」
「そ、それならおれだって、カカシさんはかるいんだから…!」

呆然とするカカシの前で、中忍たちが争い始めた。

アスマは苦虫をかみつぶしたような顔でそれを見ていた。


『…アイドルはつれぇな、おい…!』
半分やけで、中忍たちには聞こえない声でそういうと、
『うるさいよ。やっぱり残るっていってやろうか 馬鹿どもが!』

そうこうしているうちにも時間がたっていく。

埒が明かない、と思ったアスマは、ため息をつきながらもたれていた大木の幹から身を起こした。

自分が殿をつとめて部隊を退却させるため、カカシを担いでいては、任務に支障をきたす、と黙っていたのだが、こいつらがカカシを連れていくよりよっぽどましだろう…。

アスマがカカシのそばに寄る前に、中忍の中で最も大柄な男が、仲間を出し抜くように強引にカカシの腕をとって、背に担ごうとした。

無意識にカカシが緊張し、ふっと殺気となって体をおおう。


─駄目だな、こいつらじゃ…カカシが緊張しちまって、里に就くまでもたねぇぞ…


強引に抱えようとした大柄な中忍を、アスマが止めようとした、その時。

あたりの空気を裂くような鋭い音がいくつも重なった。

瞬間、アスマはチャクラ刀をかまえ、中忍たちは何が起こったか分からずきょろきょろし…


カカシだけは、掴まれた腕を離そうとのんびり抗っていた。


ぴしり、と、とがった音がして、カカシの体を無数の蔦がからめとった。

「ひぃっ!!!」

カカシを抱えようとしていた大柄な中忍は意味不明な声をあげて腰を抜かし、囲んでいた中忍たちもてんでバラバラにとびずさった。

が…

蔦にからめとられた当の本人は、ふ、と、体の力を抜いていた。

アスマもその蔦の纏うチャクラを見、チャクラ刀をしまう。

─やっぱり…来たか…

続く…


 ※殿=「しんがり」・(退却する軍の)最後尾。退却戦では最重要な部署で、危険ももっとも高いポジション。

20:24 | 小話 [Comment:0]

2009 *06 05 あーびっくりした… memo小話第二話

昨日、遅い更新だったのに、拍手、連打単打でありがとうございました!

今日の分も何とか間に合いました(#^.^#)

日曜には、えーと、どのくらいになるかな…前後篇…?位で…まとめて…完結……

できるといいな…(笑)

目標です!頑張ります~~

お忙しい方はその時まとめてでも…♥
(とかいいつつ、出来てなかったらやばい…(爆))


それから…

今日は嬉しいびっくりがありました♥

手ブロ熱が相変わらずで、下手なくせに描きたい、という悲しい習性がやまず、また描いてたんですが…

拍手お礼文の古いほう、月と森と…のお話のイメージの絵を描こうとして、まあ、描いたんですが、どうしても二人、暗部が絵に収まらなかったんです…
癇癪起こして消しちゃおうかと思ったんですが、せっかく時間かけて苦労して描いたんで、未練がましく…タグなしでUPしたら…

新着のHOTに…(ノД`)・゜・。♥

今日だけで、今までの総アクセス数の倍のアクセスが……

び、び、びっくりしました……

嬉しいよりも先に、どうしたんだろうとうろたえるありさまでしたよ…(笑)

(あ、「HOT」というのは…手ブロでは、新着ブログでアクセス数が多い記事を、topページにピックアップされるんですが、その記事の事です…)

リンクを押し間違えてtopページにいかなかったらまあ、気づかなかったでしょーね…(笑)

アクセス数みてぶったまげました(笑)

それで思ったんです。

これはいい出来だな、とか、よっしゃ、とか思って雑念もって描いてると、少なくてもワタシの場合は全然だめですね…(笑)

ここのところの背景付きの絵は、書きたくてしょうがなくて、頭の中のイメージを何とか出したくて四苦八苦しながら描いたもので、不思議とそういったモノのほうが、(ワタシの絵に限って言うと、)いっぱいハートをいただけたりします。
(ハートというのは、一種のWebClapのようなものです)

見てくださる方、すごいですよね…
受けようとして下心で描いてるのって総じてダメです。

だから、今回はびっくりもしたし、嬉しくもあったし、考えさせられもしました……

お話作りもそうかもしれませんね…

描きたくてたまらなくなって書いたものが、喜んでいただけるようです。

…ゲストの方々と、萌えのレンジが近いんでしょうか…(爆)

ではでは、無駄話はこの辺にしておいて、

今日の小話…第二話です!

……もしかしたらタイトル変えるかもしれません……^^;

後輩のお仕事 2


そして案の定、カカシはいやな顔をした。

アカデミーの迷子札じゃあるまいし、とか、浮気を心配する亭主か、とか、わけのわからないことをぶつぶつ口の中で呟くカカシに、アスマはテンゾウの脅しを伝えた。

「おめぇが心配で任務がおろそかになるかもしれねぇから、ちゃんと飲めって言ってたぞ…?」
「……!!なっ!!!」

アスマはカカシが赤面するのを初めて見た。

「おっおれはあいつに心配してもらわなきゃなんないような甲斐性なしじゃないっ!!」
「おまえね、俺に怒ってもしょうがねぇだろうがよ…?」

アスマは初め、面倒くさくてたまらなかったのだが、普段ひょうひょうとしているこの同僚の、あの木遁の若者に関してだけくるくる変わる表情が珍しく、どんどん深入りしているのに自覚がなかった。


カカシの班の任務は、アスマの班の援護を受けて、隠密裏に敵の戦力を殺ぐ、という、殺伐としたものだった。

カカシが望んだように、アスマはテンゾウと任務内容を変わってやろうと思って三代目に相談したのだが、テンゾウの任務は木遁使いを必要とする任務で、どうしようもなかったと聞かされた。


カカシは肩をすくめ、その決定を受け入れた。
「まあ、あいつが必要とされるのは、いいことだよ」
そう言って。


カカシの班には、待機所裏でテンゾウに絡んでいた中忍たちもいて、カカシに一言注意してやった方がいいか、と、アスマは思ったが、いざ忠告するとなると、何といって注意するべきか、考えているうちに任務は進んでいった。


─あいつに班員、いらないんじゃねーのか…?っていうより、任務の邪魔してるとしか思えねぇな。

もちろん、三代目は、この任務をカカシの単独任務に割り振ろうとしたが、財務担当官が、複数で引き受けた方が対価が高くなる、といって、複数で引き受けたのだ。
…現場を知らない者のすることはいつもこんなもんだ、と、あとから聞いたアスマは盛大にため息をつき、テンゾウは財務担当官のは現場経験者のみに限ることにしてはどうか、と、三代目に上伸することになるのだが、それはまた別の話だ。


紫の天空にかかる銀盤を背景に、ふ、と影がよぎるたびに、目標がひとつ、ひとつ、数を減らしていった。

余りの鮮やかさに、カカシの班の部下たちは手をつくねて見るほかはない。

もとよりカカシは自分一人で仕事をしてしまうつもりでいたのだったが。

見ていると、カカシの動きは無造作だった。

特に慎重、とも思えぬ動作で敵の背後に立ち、口を押さえるのと、延髄に千本を指すのが同時。
相手はそのまま数歩進んでおもむろにくずおれる。

余りの手際に、見ていたカカシの班の部下たちも手伝おうと…自分たちは見ているだけなのが納得できなかったのだ…数歩踏み出したとたんに敵の結界にかかった。

離れていて中忍の動きを止められなかったアスマは舌うちをした。


─馬鹿どもめ!カカシの足を引っ張りやがって…!!!

図らずもテンゾウの危惧はあたり、中忍たちは自分の命を守ることさえままならない乱戦のただなかに取り残されることになった。


『アスマ…仕方がない…殲滅戦に切り替える…』
カカシから合図が飛んだ。
『分かった』

ひゅ、と、声なき指示が飛び、あたりは凄惨な戦場と化した………


すべて殺せ…


殲滅戦にしてしまった任務を、カカシがどう思っていたかはアスマには分からない。
だが、カカシ一人でこなしていたら、失わずに済んだ命が消えていったことには違いはなかった。

あたりに血臭が満ちる。


カカシは、己が身一つだけでなく、班員すべての命の楯になって戦わざるを得なくなっていた…


第三話につづく…

21:54 | 小話 [Comment:0]

2009 *06 04 ちょっとずつ、memo小話…

うわあ…
いっぱい拍手頂きました…!
ありがとうございます…(ノД`)・゜・。

お待ちいただいてるんだと思うと、元気百倍です……!!

まだ、出来上がってないんですが、時間がかかりそうなので、出来たところまで順次小話としてUPすることにします…!

とにかく、今週中にこのお話は仕上げます!!

バトンもいただいてるまんまなので、う~ん、がんばろう!!


出来てるか出来てないか微妙なテンカカです(笑)

テンゾウがチョイ黒です(笑)
ひげ熊さんが貧乏くじをひいてます(笑)

お付き合い、よろしくお願いします!


後輩のお仕事 1

忍者にあるまじきヘビースモーカーの猿飛アスマは、同僚にニオイをうつすのを遠慮して、待機所の裏手の方にぶらりと回った。

暗部の任務は、正規部隊の場合のように待機していても意味はない。

ここのところの構成員の消耗が激しく、インターバルで休みに入ってもすぐにお呼びがかかり、遠くに気晴らしに出ることもできない。

アスマは、かつて、実父とさほど折り合いがよい方ではなかった。
だが、四代目亡きあと、里に戻ってから、火影に再任した父の苦労を目の当たりにして、それなりに思うところがあり、何より、四代目の愛弟子だった彼の同僚に気を配る父に、思いがけない面を見、いつまでも確執にこだわる愚をさとり…それを悟る切っ掛け…結果として…となった、どことなく危なっかしい同僚に何くれとなく手を貸してやっていた。

その男の危なっかしさは、忍びの腕の危なっかしさではなく、(それを言えば、間違いなく自分よりも上だ、と正直にアスマは考えていた)人として、どこか欠落した部分を感じさせ、生き急ぐようなその生き様が、硬くてもろいガラスを思い起こさせた。


その危なっかしい同僚が、ここのところ、妙な変化を見せていた。

「アスマ アスマ、アスマ、アスマって!!ねえ!」
「………おめぇ…犬っころ呼ぶみてぇに人の名を気安く呼ぶんじゃねぇよ…」
「何言ってんだよ。名前ってのは呼ぶためにあるんでしょうが!それよりさ、」
「……木遁の小僧っ子か…?」
「うん、あいつ、今度、誰の下に就くって?もう決まった?」
「…なんで俺に聞くんだよ。」
「なんでって…まだ決まってないんだったら、あれ、俺にちょうだいよ。あいつ、副官にほしいな、俺…」
「だから、なんで、俺に言うんだって。」
「三代目に頼んでくれないかな…?」

アスマはその時、ちょっと驚いたことも確かだった。
人に頼まれごとをすることはあっても、自分が頼みごとをしたことはないはずなのだ。この男は。

「俺が…か…?」
「う~ん、駄目…?」
「駄目とはいわねぇけどよ。おめぇ、知ってるだろうがよ。色々と…」
「色々とって…バカバカしい親子喧嘩の意地の張り合いのこと…?」
「……!!」
それなりに悩んでいたアスマは「親子喧嘩」とひとくくりに一刀両断されて、思わず目を白黒させた。
「ヒルゼンさまもかわいらしいところがおありになるよね!俺たちにゃ寛大でいいおやじ様なのにさ。お前にだけは意地張っちゃって…。いいよな、アスマは。我儘いったり言われたり出来るおやじ様、いて。」

アスマはさらりといわれた言葉に、小さく息をつめた。

アスマとて…カカシの背負っているものを知らないわけではないのだ。

「…ち、しょうがねぇな…」

おやじでなくとも、なんとなく、この男のことを甘やかしたくなる自分を、アスマはあきらめて受け入れることにしたのだった。

その、危なっかしい同僚ご執心の木遁使いの後輩が、アスマが回った待機所の裏手で、数人の中忍に囲まれていた。

─なにやってんだ、あの野郎…?

カカシに頼まれていた件は、テンゾウがカカシの副官に就くどころか、テンゾウ自身が班長として部下を連れて任務に就かなければならない状態になっているらしく、それを告げられた時のカカシの様子たるや……

「ええええ!三代目って、何考えてんだ、あのくそおやじ!! テンゾウはまだ17だろ?口ばっかり達者でてんで使いもんにならないのを連れて仕事になるかよ!、あいつの足を引っ張るのにきまってるって!!俺が文句言ってやるっ!」

「待て待て待て待て!!この馬鹿!」

火影室へ乗り込む勢いのカカシの襟首をとらえて、なだめなければならなかったアスマはとんだ貧乏くじだった。
しかし、こんな風に不満、不平をあからさまにし、誰かに文句をつけようとするカカシは…

─珍しいこった…しかしま、こいつにとっちゃ、いい変化じゃねーの…?

気がかりな同僚に明るい変化をもたらした、出来のいい後輩について、アスマはそれなりに観察を怠らなかったが、明らかに、この木遁使いの後輩も…

─カカシは気づいてるのかどうか…心配してやらなきゃならないようなタマじゃねぇぞ、こいつは

今も…

年上の中忍たちは、襟首をつかみかねない勢いで、木遁使いの若者…ほとんど少年といっていい歳の…に、言い募っているが、テンゾウは表情こそ困惑の極みだったが、チャクラに微塵の揺らぎもない。
それどころか、彼らの立っている地面にぐるりと張り巡らされている濃密な…

─木遁のチャクラ…

「あんたは確かに上忍ですけどね。」
「後付けの力のお陰で上忍になってるんじゃないのかって、もっぱらの噂ですよ」

言葉づかいはまだ丁寧だったが、それだけだ。アスマは気配を消して、成り行きを見る。

「…えーと、何が言いたいのか……その、ボクにはよく…?」
困惑しておろおろしたような若者の声を聞いて、アスマは意外にこの若者が芝居っけがあることに気付いた。
「はたけ上忍の腰ぎんちゃくは大概にしておいてください、ってことですよ!」
「俺たちゃ、はたけ上忍の班に入れてもらうために血のにじむ努力をしてきたんだ。それを…」
「若いからって気にかけてもらってるのを勘違いしてるんじゃないか、って思ってですね」
「俺たちゃ中忍だが、はたけ上忍との付き合いはあんたよりずっと長いんだ。」


……その時のあたりの気配をアスマはずいぶん後まで忘れられなかった。


殺気に鈍いのも大概……この場合、やつらは幸せなのか…?

潜んで成り行きを見ていたアスマの腕も皮膚が粟立つ殺気があたりに充満した。

困惑した笑顔のまま、氷点下の殺気を纏う歳若な上忍に…囲む連中は気づきもしない。

─こいつが奴を心配するのもむりねーわな。こんな連中かばいながら、任務についてんだからよ。

「温厚」の仮面が剥がれるほど、この後輩を中忍たちが怒らせる前に、助け船を出してやらねば、カカシは任務に出る前にまた班員の選抜から始めねばならなくなるだろう…


潜めていた気配を全開にし、アスマはのんびりした声をかけた。


「おぅ、だれかいんのかよ? 」

「あっ、猿飛上忍…!!」


同じ上忍、とはいうものの、すでに赫々たる功績をあげ、三代目の子息であるアスマの登場に、テンゾウを囲んでいた中忍たちは、「テンゾウをつるしあげていた現場」を押さえられて実に具合が悪そうだった。

テンゾウに助けが入った、と、とった彼らは、ばつの悪そうな複雑な表情で、慌ててその場を辞していった。
もちろん、自分の方が助けられたとは、気づくはずもない。


アスマは、このつかみどころのない後輩が、自分の存在を知っていたのに気づいた。

─俺がいるのを知っていながら、あの殺気ってどうよ…?こいつも…まぁ…なんというか…

「先輩は…」

彼が言う「先輩」が、カカシのことだ、というのはすぐに分かった。


「あんな…連中を背にかばって…命を懸るんですよね…」
独り言じみたそれを、アスマは黙って聞いていた。
「命をかけるに値する、とか、守るに足る、とか、先輩には関係ないんですよ…」
「………」
「自分より弱い者はみんな……あの人の守る対象なんだ……」
「………」
「だからボクは…」
ヘッドギアの小作りな頭が、長身のアスマを振り仰いだ。

「あの人よりも強くなって、あの人の守る対象から外してもらいます。」
「…おめぇ…」
狂的…ともいえる、この若者の、修行、精進に、そんな思いがあったとは……
「ボクがあの人を守りたいんだ。…」
「……」
「あの人は…いったいいくつまで…守られる対象だったでしょうね…?」

テンゾウはほろ苦い微笑を浮かべた。

─あいつは俺が中忍になった歳に、上忍になってやがった。そういえば、あいつが誰かの背にいたのって…あいつを背にかばえたのって…四代目だけだったんじゃねーのか…?
こいつ…四代目を…

「ボクは先輩が頼って、任せてくれる…存在になりたい…あの人がそうであった…ように…」

自分が四代目を思い浮かべたように、こいつも、里の英雄をライバルとして定めたのか、と、思いもよらぬ、後輩の覇気に、なにやらわくわくするものが胸の内に湧き上がった。

いつも曖昧な笑顔を浮かべた事なかれ主義者。
実力はあるのに、それを十全に発揮して、上を目指そうとはしない小心者…

そんなテンゾウへの評価を、アスマは改めねばならない、と、思った。


「猿飛先輩…厚かましいですが、少しお願いしていいでしょうか…?」

唐突にそう切り出されて、アスマは少し面喰った。
この後輩が、先輩、と呼ぶのは多分カカシと自分だけ。

─どうやら俺もこいつのおめがねにかなった、ってことか…?

「…これ、カカシ先輩に食べてもらってください…」

そう言って、最年少の暗部が差し出したのは、何かの種のようだった。

「なんだこりゃ…?」
「カカシ先輩に渡していただけたら分かります。きっと食べてくださいね、と、ボクが言っていたとお伝えいただければ…」
「こっそり食わさなくていいんだな…?」
「…!!じょ、冗談はよしてください…!!」

アスマは、初めて本当に慌てたテンゾウを見た。
「ボクはそんな…これがなんだか、先輩はご存知ですよ…!!」
「……いやだ…といったらどうするんだ、お前…」
「…ボクは先輩が心配で自分の任務が上の空になりそうだとおっしゃってください…」

おいおいおい…それって 脅しかよ…?

「……わかった…」

きっちりと丁寧に頭を下げて走っていくテンゾウの後ろ姿を見やりながら、アスマは、つくづく自分の世話好きな性格をのろったのだった。

ちょっと私信…^^;
わーい
みかんさん、連載になっちゃいましたぁ(爆)

22:21 | 小話 [Comment:7]

2009 *06 01 御帰りなさい……(ノД`)・゜・。

昨日からの連打の拍手、ありがとうございます!

怪我をしてる愚息2といっしょに、彼が帰ってきてから病院に行ってまいります…(^^ゞ

そーーーれからーーーーー


WJ!!!!!!!!!!

うわああん!!!


腰が痛くてひーひー言ってるんですが、やっぱここは、なんかUPしないと!!

と、言うことで、小話を…ひとつ…!

某大好きサイトさまのオフ本の後日譚に萌えまして…(笑)
妄想したものを…(笑)


コメディで、ちょっと…幾分…御下品ですので…(笑)
要注意…!(笑)

オトナルカカです。


男の嗜み

「せんせー…大丈夫か…?」
……大丈夫なわけないじゃないのよ…
「だから、ちゃんと準備しておこうとしてたんだってばよ…?」

…………準備が整ってなかったらやめておこうっていう選択肢は無かったのか、ナルトぉ…!!!!


***


「ナルト、何してんの…?」
「…あ…?何してるって、カカシ先生、明日から先生と俺、ツーマンセルだてばよ?準備しねーと」
「へぇ…!感心だなナルト。いつもは俺に蹴り飛ばされてからしか準備しないの…に…って…………何よ、コレ…?」
「えへへへ…ちゃんと準備してるから、安心していいってばよ!先生!!」
「……いや、準備はわかったから。で、コレは何だって聞いてるでしょ…?」
「あれ…?先生、まさか、知らねーの…?コレ…?」
「……知ってるよ。だから、なんで、こんなに、ここにあるのかって聞いてるんだよ。」
「先生、男の嗜みだろ?コレの準備は…??俺、綱手のばーちゃんにそう教わったってばよ?突っ込まれるものの立場になれ、この馬鹿って…拳骨付きで教わったってばよ?」
「………!!!!」
「…?どうしたってば…?先生?コレ、無いと、先生、困るだろ?出先で腹壊したりしたら、大変だし…?俺はまあ、無い方がいいっていうか、まんまで先生を感じたいっていうか…えへへへ」
「……ナルト………」
「あ、いやいや、先生、心配しないでいいって!俺のそんな小さなこだわりは捨てていいってばよ!先生のためにちゃんとコレ、俺ってば使うから!!」
「………俺のため、っていうのは分かった……。ありがとな、ナルト。」
「いいってばよ、先生!」
「……だけどな、ナルト。この量は何なんだ……!!??」
「…へ…?足りないかな…?」
「!!!!!あほう!!おま…ひと箱にいくつ入ってると思ってんだ!!!!なんで5箱もあるんだよ!!!!3日の予定の任務なんだぞ!!」
「……!!あ…っ!そうか!!」
「……(やっと気づいてくれたか…)そうだろ、おかしいでしょうよ…?」
「計算間違えだってば!一日2箱なら6箱いるってばよ…!!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「っっっつ…いってええええ!!!先生、いてぇよ、なんで殴るんだってばよ!!」

「………置いて行け…」
「だって先生…」
「…お・い・て・行けっ!!!!」
「……でも先生…」
「わかったな、ナ・ル・ト!!!!」
「……はい…わかったってばよ……」
「よし…なら、いい…。」
「…せんせぇ…」
「…久しぶりの二人っきりの任務だから、がんばろうな、な、ナルト!」
「……うん…」

でも…先生。コレ、置いてっても…先生が困るだけだと思うんだけどなあ………


***そうして冒頭のシーンにもどる………

「コレ」って…何のことか…
わからない方…いらっしゃいません…よね…?(笑)
…お下品で申し訳ないです^^;

くぅ~~
復活祝いがこれか~~~(^^ゞ

明日、出来れば…テンカカを…(〃ω〃)

ってそんなこと言ってていいのか…
大丈夫か自分…(汗)

***

それから、手ブロの方からメッセージありがとございました!!

ペンタブの調子が微妙でなかなかお返事が書けないので、先にここでお礼だけでも…(#^.^#)

手ブロからメッセのYさま

Yさま…!
お気遣いありがとうございます!
背中の方は大丈夫ですか…?
お互い、椅子に座るのがきついのは、辛いですよね~~(汗)
あの二人のイラストに一気に浮上しました(〃ω〃)
いつもストーカーでスミマセン(^^ゞ

14:40 | 小話 [Comment:0]

2009 *04 19 前編終了…&ミニブックのサスケが可愛すぎる…

イラスト 14.jpg

ナルトの前売り券を「大人一枚」で買うのって、洒落にならないくらい恥ずかしいですね……
〓■●~~=□○0...パタ

でもでも!

前売り券の方が割高でも!!(レディースディなら1000円だ…)

クリアファイルがほしかったんだよおおおお(笑)

だから今日はクリアファイルのカカシ先生に満足してたんで…かわいいなあ、と最近特に思い始めたサスケさんに挑戦してみました。
ミニブックのサスケ、カワイイですよね……

再放送の、カカシとサスケのツーショットがかわいそうでたまりませんでした。

「俺もお前も運のいいほうじゃなかった…」

わあん…

色々忙しくて、録画、さっきやっと見れたんで、たまらなくなりましたよ……

…隊長はワタシにはハードル高いです…(-ω-;)
…って、どのキャラも難しい事に変わりないんですが…^^;


という事で、本日で何とか前編、終わりですvv

えーーと、このまま、後編とセットでLongStoryに出していいかな…ドキドキ…

明け烏 3(前編完)

青年は動かない。
動けないのは本当のようだった。

「餞別ってもな。俺は今、何にも持ち合わせないよ…?」


「……もってるだろう…?そこに…」


「………鴉…」


初めてカカシの声が変わった。


「止めておけ。俺は気にしなくても気にするヤツがいる。爆薬庫みたいなヤツだ。わざわざ火種を放り込むようなまね、しないでくれ。」


何時ものふざけた口調ではなかった。


「…ふん。爆発しても、どうせ吹き飛ぶのは俺だけだ。なら、冥途の土産に…貰うぞ、お前を。」

「止せ……鴉!」

カラスは思った。


こいつに、もっと名前を呼んでもらいたいと。

この青年の呼ぶ声は、

「カラス」でも「烏」でもなく…


三代目が呼んでくれたように、ちゃんと「鴉」と聞こえた……


「っ…あ…っ…!!止め…!!さ、さわる…なっ!!」

体を捩る事も出来ない青年を組みしくのは簡単だった。
何処からか取り出した武器で殺されても…この青年に、自分のくだらない一生の始末をつけてもらえるのなら…

それはそれでかまわない、とカラスは考えた。

「殺したいか…?俺を…?なら、そんな風に動けなくなるまでチャクラをつかったりしないことだな。だから…こういう目に会う……」

そういって男の指先が、さらに青年の体の奥にまで忍び込んだとき…


「………っ!!!」

「それについては全く同意見だってばよ…」


唐突に…部屋に響いたのは…

当の男から、生きる「すべて」を奪った若い火影の…感情を押し殺した声だった…


若者の蒼天の瞳が、金色(こんじき)に激情の炎を揺らめかせているのを見た時、カラスはこれで全ておしまいに出来る…と思った。

自ら死ぬ事すら出来ない…

生きろ、生き続けて里を…

その言葉がカラスをがんじがらめにする。

三代目の願いを叶えたかった。
でも…それももう終わりだ。

この六代目が…それを成してくれるだろう。

もう、自分のような人間を生み出す事の無い世界を…

きっと…。


後編に続く…

15:42 | 小話 [Comment:0]

2009 *04 18 小話2話+バトンいただきました^m^

イラスト 13.png
昨日の続きをチョコットUPしております。
例によって、オリキャラその他の諸注意(笑)は昨日に準じておりますので(笑)
平気、平気、な方だけ、どうかお付き合い下さい!


雑談なんですが。

色々なサイト様をめぐらせていただいていると、もう、ここまで書くのか~~~
っつーぐらい、色々な注意書きがあって、正直、サイト持つまでは、何でこんなにごちゃごちゃ書くんだろうか、わかんなかったんですけどね…

理由がサイト開いたらわかっちゃいましたよ(笑)

警告、注意書きは、必要ですね(笑)

特にワタシみたいに、結構何でも平気な人って珍しいでしょうし(笑)

誰にでも地雷はあるものです…
なので、そのための諸注意ですんで、鬱陶しくってごめんなさい(汗)

そーれーかーらーーーー♥

DYM.のむぎさまからバトンいただいちゃってます♥

「題名に名前が出た人がビックリして受け取るバトン」

えへへ むぎ先輩ありがとーございます♥
確かにびっくりして受け取りました!(笑)

月曜日のmemoでやらせてもらいます♥

memoでの更新は明日で前編分が終わりで、後編は来週末くらいには仕上がるように頑張ります!
で、仕上がったら…大丈夫そうなら、LongStoryか、Underのどっちかに前編をくっつけてUPしますね!
もう裏表の区別がごっつええ加減や…(-ω-;)


ではでは、本日の小話…

昨日の続きです…タイトルは「アケガラス」って読んでやって下さい♥
朝寝坊しているつかの間の逢瀬の恋人達をたたき起こすようになく鳥(カラス)のことだそうです(笑)


明け烏  2


「すっかり教師が身に染み付いたか…カカシ……」


「アンタは差配になったんだって…?」


眠っていると思っていた青年から返事が返っても、カラスは驚きはしなかった。

どんなに気配を消していても、この青年のそばに気づかれずに近づけるとは思っていない。


「それも今日までだ。」
「…何、引退でもするの…?その年で…?」
相変わらずのとぼけた物言いに、鳥面の下でカラスは苦笑した。彼にほんの僅かな苦笑でも…誘う事の出来るのは、今となってはこの青年だけかもしれない。


「お前の”オトコ”に俺たち全員クビにされたよ。」
「…クビ…?…っていうか、オトコってなんだよ。やないいかたするねぇ…」
ぶつぶついう青年にかまわずカラスは続けた。
「間抜けな下役たちが、小遣い稼ぎに死に損ないの年寄り達の使いっパシリをした巻き添えだな。」
「……ああ……」
「……何人来た…?ここに来たんだろ、暗部のヒナ…」
包帯をした青年は、肩をふるわせて、くつくつと笑った。
「来たよ。4人で。」
それも六代目が潜んでいるとも知らず、六代目の命令だ、と抜かしやがった、と青年は言わなかったが。
「……4人?40人じゃなくて?」
「…おかしな事言うんだな。差配のアンタが知らないの?」

そう問われてカラスは面の下でため息をついた。

「暁の戦の後で暗部に回ってきたヤツらは…使い物にならん…」

そういう暗部の差配に、ベットの青年は肩をすくめた。

つまりは、この男は、使い物になりそうもない新入りの教育を放棄した…さじをなげて、そのまんまにしていたのだろう。

「今なら、なまくら暗部でも死にはしないからな。お優しい火影さまが厳しい任務を引き受けない。」
「無責任な事をいってると六代目から雷が落ちるぞ。部下を大切にしろってな。」
「……その六代目さまはおなじ部下である筈の暗部を大切にしてるとも思えんがな。幼馴染の仲良こよしで周りを固めて、他を蔑ろにしている…」
「……と、噂はどの辺までひろがっている…?」

ひんやりと気配を変えた青年にカラスは瞠目した。

そうか。

其処まであの小僧が大切か。

三代目が火影に再任し、そして身罷ったとき、カラスは一人でその苦しみに耐えていた。
しかし、その喪失感は余りにも大きかった。
大切にしていたもの、全てなくした、と、絶望に身を任せようとしたカラスを、現世に引き止めたのは…

「三代目が守ろうとしたものを守るのがアンタの仕事じゃないの…?」

この青年その言葉だった。

火影

それはカラスにとって、太陽の象徴。
日陰でしか生きて来れなかった男の、叶わぬ憧れ。

その火影に…


「いらん、と、言われちまっちゃぁな。そんな噂の広がり具合を気にしている場合じゃなくってな。」


「ふーん」


返ってきたのはさも、気のない返事だった。この男のことだ、考え直せと、説教の一つでも食らわせてくるか、と思っていたが。


─やはり大切なのは、自分のオトコだけか…
その類稀な忍としての力も…比類ない…容貌も…だた、あの洟垂れ小僧に独占させるのか…


マグマの流れに似た怒りがふつふつと腹の底からわきあがってくる。
……そうか…
俺はこの男が…

自分にないもの全てをもつ青年。
嫌っていると思っていた。
バディとして信用しても、決して心を許しているわけではないと。

けれどもそれは、月を手に入れようとして天に吼える餓狼になるまいとして、張った、予防線だったのではないか…?


この男に惚れて、苦しまないために。


しかし、その枷はすでに外れてしまっている。

この青年が…
誰のものにもならないと…それだけで、己を慰めていたのに…

あんなひよっこに…

「どっちにしろ…俺は暗部の血臭が染み付いている。お前のように表には出られん。暗部がなくなれば、オレも消えるしかないな。」
「………」
「長い付き合いだったんだ。餞別をよこせ、カカシ」
「……里を出る気か…?」
「…さて…ね」

里を出る…?
コイツは何を言ってるんだ。
里を守り続けて命を落とした三代目…その意志を継いだ筈の火影からいらないと言われたんだぞ…?

俺に何をしろというんだ…?

人を殺すことでしか…値打ちを示せない俺に…?


カラスはゆっくり寝台に横たわる青年に近付いた。


続く…

14:46 | 小話 [Comment:0]

2009 *04 17 小話一話目+落書き

イラスト 12.png

なんか、最近、ナルトLoveですね…

ナルトが好きすぎる…♥


カカシ先生早く帰ってきてくれwwww(笑)


という事で…
もう、どのカテゴリに上げていいのかさっぱりわからなくなってきたので、ちょっと様子見に、最初の方から少しここに上げてみます………

オリジナルキャラの暗部は出てくるし、アンダーなのかotherに上げたらいいのか…(-ω-;)

基本は今連載中の火影ナルカカの横道にそれたお話しなんで…オトナルカカでいいかなぁ、とか思ったんですけど、オリキャラ嫌いな方もいらっしゃるだろうし…

サイトの方に上げると、前書き長くなるとみっともない感じがするんで…^^;

MEMO小話にしておけば、こうやってダラダラと注意書き、描いても大丈夫かな、と…(笑)

ちょっとづつですが、日曜日まで、毎日上げて…それで、何とか一話分…いけるかな…?

こんなのはオトナルカカに上げちゃいやん、とクレームが来ないかどうか(笑)まってみて、大丈夫そうだったら、endはサイトの方で出そうと思います。

  • オリジナルキャラクターの暗部が出てきている。

  • ちょっと趣味に走っている。

  • カカシ先生相変わらずのチャクラ切れ。

  • 本編と内容に関連がある。

  • ここいらあたりが大丈夫な方は、ちょっとづつですが、お付き合いよろしくお願いします♥

    明け烏(火影ナルカカ)


    太陽に焦がれた、ある男の話……。


    その男は カラス と 呼ばれていた。

    長い間暗部の第一線に身をおきながら、命を永らえている、それだけでその男の忍としての優秀さは証明されていたが。

    日のあたる場所へ移動を望むわけでもなく、淡々と陰惨な任務をこなし続けていた。


    ただ、己を拾ってくれた、前代の火影のためだけに。

    例えそれが、その時出奔していた息子の代わりであったとしても。
    カラスには関係なかった。

    三代目の情愛に偽りはなく、身寄りの無い男を気にかけてくれるのは、里長であった三代目だけだったので。

    幼い男が、「烏」、鳥より一本足りない間抜け、と揶揄されると、三代目は、

    『牙のある鳥…それが本当の鴉だ。お前はそんな忍になるんだぞ。』

    そういって男を励ました。

    だから。


    三代目が守ろうとした木の葉の里を、三代目亡き後も、ただ守り続けるだけ、それだけが「鴉」だと呼んでもらえた自分の目的であり存在意義なのだと。

    男はそう信じていた。

    六代目が暗部の解散を宣言するまでは。



    ひっそりと静まり返った薄暗い病室で、カラスは病床の青年を見下ろしていた。

    類稀な力を持つ凶眼は包帯の下だ。

    相手はチャクラ切れで動けない、というのに、病人の実力をその眼で、体で知るカラスは、つい用心してしまう。

    ─暗部根性が染み付いている…


    青年はカラスと同じ暗部にも在籍していた事もある辣腕の忍。

    今の若い暗部には信じられないような過酷な任務を数え切れないくらい一緒にこなしてきた。

    暁来襲のおり、殆どこれといった働きの出来なかった自分達に引き換え、この青年は…


    ─命、懸ける場所を得たんだな…カカシ……

    カラスにはそれが出来なかった。する機会さえなかった。
    そういった晴れがましいといえる戦場(いくさば)を与えられた事はなかった。

    闇に紛れ、人が眼をそむけるような陰惨な任務に手を汚してきた。
    それはこの青年も同じだったが。

    けれども彼は、己の名を伏す事もなく、その任務に就いた。
    もとより名さえない自分とは違う。
    二つ名をもつ木の葉の英雄の遺児として注目を集めていた筈のこの青年は、臆することなく、素のままで暗部任務をこなしていった。

    汚い仕事も、後ろ暗い仕事も…
    報復も、恨みも憎しみも、すべてその背に背負う覚悟で。

    そうしてその覚悟は、上忍師となってからも…


    続く…

    16:42 | 小話 [Comment:5]

    2009 *02 02 リフレイン 補完 小話 「プロローグ」

    いつも ご訪問、拍手、有難うございます~~!

    連載ではどうも入れきれなかった設定を説明する小話を突発的に書いてしまいました~~


    はい、ご明察…!
    WJを読んで、なんか、こう、もっと、こう…
    なんか、上手く言えないんですけど~~っと…(笑)

    連載中に入れられればよかったんですけど、なんか話が間延びした感じだし、でもあのまんまじゃ説明不足かな…という感じだったんで。

    もろに四カカです…(笑)

    この話だけ読んでも分かるようにしたつもりではいますが、あくまでも連載「リフレイン」のお話しの、「プロローグ」という意味ですので、ついでにそっちも読んでいただけると…(笑)

    6話の次に読んでいただくのがイイか、と…(笑)

    スミマセン、注文の多い管理人で(笑)

    話の始まりがむっちゃアレですし、ちょいと暗いですが…^^;

    なんでもオッケーさ、な方、お付き合いくださいませ!
    (書いてる方は、badendじゃないつもりです…^^;)

    プロローグ ─物語の始まり─

    金髪を戦風になぶらせながら、彼は足元に横たわる、…今は物言わぬ亡骸となった、嘗ての愛弟子のかたわらにそっと膝を突いた…



    「カカシ!! 赤子を四代目様の元へおとどけしろ!!ご命令だ!!」


    暗部の上司にそう命じられたそのほっそりとした体躯の、キツネ面の暗部は、かすかに頷くと、懐に赤子を大事そうに抱え込んで、九尾の妖狐の巻き起こす戦塵の中に飛び出していった。

    誰もが、命がけだった。

    里を守るために。

    仲間を守るために。

    行け、といわれれば、躊躇わず、生還の見込みのない…四代目の元への使いに出ただろう。


    しかし、その役目を果たせるのは、四代目の元までたどり着けるものだけ。
    今の暗部に、ミナトを追跡できるのは、この一番年少の、彼の愛弟子だけだった。

    誰も、好んでまだ子供、と言っていい年の暗部に、この役目をふったわけではなかった。
    それは、勿論当の本人も知っていた。
    命をかけることになんの躊躇もない。

    しかし。

    少年は何も守るべきものを持たなかった。

    唯一、守りたかった彼の師は、今まさに命を捨てようとしている。

    帰ってくると、一緒に生きていこうと約束してくれた、師によく似た名も知らぬ人は、ついに戻ってこなかった。


    ならば。


    …ナルト…オマエだけでも…幸せに…生きろ。

    少年は懐の赤子にそっと話しかけ、ツバメのような身ごなしで、荒れ狂う妖気の中に飛び込んでいった。

    彼には、師にも明かさない決心があった。


    少年自身も師に仕込まれ、封印術を使う。

    自分に妖狐を封印すれば…
    その術式を自分のチャクラで補助すれば。

    ─先生は死なずにすむ。…この子に父親を残してやれる…


    多分、自分は九尾の尾獣の器としては、脆すぎるだろう。
    しかし、自分の死とともに、尾獣も道連れにできる…


    「カカシ…何をしているのかな…」

    戦場の闘気をまとったままの四代目火影は、自分の体に封印の術式を写し取った愛弟子をみて、剣呑な声をだした。

    「俺は赤子に術式を写せ、と言ったんだよ。」
    「…赤子じゃなくて…ナルトです。先生の一人息子です…」
    「そう…なら、ナルトに術式を写す。ここに寝かせなさい。」

    少年は、赤子を懐に抱いたまま、じりじりと下がる。

    「そ、んな事をしたら、先生が…」
    「承知の上だ。そのための火影なんだからね。」
    「…俺に封じてください。俺なら、封印式を助けられる。それなら、ナルトも先生も死なないで済むじゃないですか!」
    火影の表情は揺らがなかった。
    「それでお前が俺の代わりに死ぬ、というの…?俺が承知すると思う…?」
    「先生…!!」
    「…何度も同じ事を言わせるなんて…カカシ、物分りが悪いよ…ナルトをここに早く寝かせるんだ。」

    廃屋の外ではもう猶予のないほどの揺れが続いていた。
    ぐずぐずしていては、手遅れになる。
    有無を言わさず少年の手から赤子を攫うように抱き上げた年若い火影は、直ぐに封印の術式を発動し始めた。

    「先生、止めてくださいっ!!」
    「…カカシっ!いい加減にしないかっ!」

    少年の襟首を掴みとめ、赤子に覆いかぶさって止めようとする弟子を、火影は珍しく、いらついた様子でしかりつけた。
    いつも聡明で、並みの大人よりもはるかに沈着冷静な弟子が何故頑是無い幼児のように駄々を捏ねるのか。

    「先生…また、俺だけ…」
    「…?カカシ…?」
    「…また、俺だけ、残すつもりなんですね…?」
    「…カカシ……」
    「先生も一度残されてみるといい!貴方のいない里で、貴方を思いながら、一人で生きていく俺の事なんか…考えてもいない…」
    「……!!」

    大きくなってくる揺れの中で、小さな少年の像のように立ち尽くす愛弟子を、若い火影は呆然と見やるしかない。

    ─カカシ…お前の傷は…こんなに深かったのか…

    「きっと戻るって…自分のために生きろって…そういっておきながら戻ってこない奴を待って…待って…そうしてもう戻らないんだろうとやっと諦めた今になって……先生にまでおいていかれるんですか…」
    「……カカシ…」
    「俺は、先生、貴方が思っているほど…強くない…!」

    彼の若い師が、何かいおうとして言葉にならず、そっと手を伸ばして、そのキツネ面に触れたとき。
    地面から突き上げられるようなゆれが襲い、二人は反対の方向に吹き飛ばされた。


    廃屋の屋根が、長大な尾の激しい乱打を受けて軋む。

    「…っち…!」

    四代目が、そちらに一瞬気を逸らしたとき、反対側の窓から、深紅のチャクラをまとった巨大な尾が横殴りに叩きつけられた。

    ───ナルト!!!!

    少年の体が、尾の前に飛び出し、一瞬早く赤子を攫いあげる…


    若い火影の青い目に、小さな赤子を懐に抱え込んで、丸くなって弾き飛ばされていく…大切な彼の愛弟子の姿が映っていた。

    懐の赤子をかばって受身を取ることも出来ず、全ての衝撃を細い体で受け止めた少年は、床に落ちていくときも自分の体を下にしていた……

    少年の体の下の地面が真っ赤に染まっていく。


    年若い師は、その光景を無言で見つめるしかなかった…


    赤子に写した封印式が発動し始めた。


    九尾の抵抗はまだ油断がならなかったが、これで、ナルトの中に封じられるだろう。

    そうして、術式が完成し、その仕上げのように彼の命を代償としてさしだす、その須臾の時間が、ミナトに残された最後のチャンスだった。

    ミナトは体温を失っていく細い体を胸に抱き寄せ、そっと暗部面を外した。
    あらゆる苦痛から開放されたかのように、その表情は安らかでさえあったが。

    ─甘いよ、カカシ。俺が、目の前でお前を逝かせると思うの…?

    目にかかる銀色の前髪をかき上げ、その白い額にそっと唇を落とす。


    里長として、今、自分はできること全てをなし終えた。

    ならば。

    死が訪れるまでの、ほんの少しの時間、全てをお前のために使おう。
    それだけしか、もうお前にしてやれることはないけれど。


    お前のために。

    俺は禁忌を犯す。

    因果律さえ、曲げてやろう……


    時空を飛ぶために、あの谷の仙人に誓った。
    起こった事象にけっして干渉はしないと。


    けれど。

    お前のために、俺はその誓いを破ろう。

    ただ、お前のためだけに。


    残された僅かなチャクラで、ミナトは再び空間を裂く。

    九尾の因果に囚われた自分達親子の巻き添えのようにして命を落とした、最愛の弟子を救うために……


    そうして彼は見つけるのだ。


    ドッグタグを握り締めたまま、その空間に落ち込んできた自分にそっくりの陽気な青年を………


    end

    17:26 | 小話 [Comment:0]

    2008 *12 23 今日の分…もうなんだか色々と…orz

    拍手、ありがとうございます~~♥
    も、お話し書いてる時間があったら年末の仕事しろよ、という話ですが…(笑)
    PC立ち上げっぱなしで切れ切れで書いてて…
    なにと勝負してるんでしょうね、ワタシ…^^;

    出来が心配ですが、がんばって終わらせて、明日、表のテキストにUPしますので、よければお付き合いください♥

    ではでは、clickplease!↓

    求めよ、さらば… act.3

    さすがに足先が凍り付きそうだ。

    また、今日も待ちぼうけ…

    行事を気にする若い娘ではあるまいに、イブにふられたから、どうだって言うんだ。
    きっと任務で抜けられないんだろう。

    -テンゾウ、24日は体、空けとけよ。任務、入れるなよ。

    そう念を押された時は…

    期待したんだけど…

    ベストのポケットに突っ込んだ手が、贈り物の包みに触れる。
    贈り物の交換なんて、生まれて始めての経験だ、と、浮き立つ気持ちが冷たくしぼんでいくのをどうしようもない。

    プレゼントの質問をされた時は…何かもらえるのかな、と、あつかましく期待してしまった。

    期待をして、それを外されるのはとても辛い…。

    でも…

    期待をする自由さえなかった小さいころの自分。

    望みが持てるだけでも今の自分は幸せだ、とテンゾウは思った。
    例え、その望みがかなわなくとも…

    望んでいる時は、その望みは自分を幸せにしてくれる。


    あの人と、いっしょに生きて行きたい。

    望みはそれ一つだけど。


    いかん、どうも最近、贅沢になってきてるな。
    あの人と一緒にいると、色々望んでもいいような気になってくる…

    たぶん、それはとても幸せなことだ、とテンゾウは思った。
    例え、雪の中にどれほど待ちぼうけさせられたとしても…


    雪まみれの待ち人が、彼のもとにたどり着いたのはもう日付も変わろうかという頃だった。


    すでに人波は消え、雪明かりに一人立ち尽くしていた彼は、まるで氷の彫像のようなその姿を凝然と見つめるしかない。

    体温の感じられないその体が広げられた彼の腕の中に倒れこんできた時、すでに意識はなかった。

    しかし、その白い体を抱きしめた彼は、その犬面の下で、ただいま、と小さな声がするのを確かに聞いた…。


    最終話に続く…

    16:44 | 小話 [Comment:2]

    2008 *12 22 今日の分はクリア…小話更新~~

    拍手、ありがとうございます~~♥
    みみっちい更新ですみませ…(汗)

    きょ、今日の分は、ちょっと短いですが、ひとまずここで上げます~~

    も、書けたら直ぐあげる…^^;

    WJは見てない見てない、気にしない、気にしな…
    うわ~~~ん(泣)

    ぐずんぐずん…

    ↓以下clickplease…



    求めよ、さらば… act.2


    岩がくれの里はふぶいていた。

    任務帰りの忍がどんなに焦っても、予定通りに里に戻れないくらいには。

    何を思ったか、彼は遠回りで岩がくれの里に紛れ込み、なにやら用事を済ませて上機嫌で帰着しようとした時…年に何度か、という大吹雪に見舞われたのだ。

    「あーらら、こりゃあ…間に合わないかな…?」

    グローブから出た指の先が真っ赤になって感覚が鈍くなっている。
    はあ、はあ、と息を吹きかけながら寒々しい音を立てて雪の舞い散る灰色の空を見上げた。

    -Xmasプレゼント?なんですか、それって子供の貰う物でしょ?いいですよ、ボクは…

    優しい目を苦笑させてそういった。

    -え?貰った中で一番嬉しかったものって…ボク、プレゼントを貰ったことないですからわからないですよ…

    少し困った顔をしてそういった。

    自分も7つで家族を失った。
    たくさんたくさん、大事にしてきたものをなくした。
    でも…
    なくしたけれど…

    大事だった記憶、幸せだった思い出までなくなったわけではない。

    …あいつはそんな思い出すら持っていないんだ…


    殺伐とした人殺し家業…
    そんな中で、背後にあの大樹のような気配を感じるだけで凍りそうな魂が、心が、息をついた。

    カカシ先輩…

    困ったような笑顔でそう呼ぶ声が、彼をひしぐ強い腕が、底知れぬ奈落に落ちそうになる心を支えてくれた。


    …俺ばっかりいい思いさせてもらっててもね。対等じゃないよね。だから…


    「しょうがない、これ以上待ちぼうけさせると、後が怖い…!」

    そう一人ごちて、男は懐の荷物を大切に抱えなおすと吹雪の中に飛び出していった。


    続く…

    13:38 | 小話 [Comment:0]