いつも ご訪問、拍手、有難うございます~~!
連載ではどうも入れきれなかった設定を説明する小話を突発的に書いてしまいました~~
はい、ご明察…!
WJを読んで、なんか、こう、もっと、こう…
なんか、上手く言えないんですけど~~っと…(笑)
連載中に入れられればよかったんですけど、なんか話が間延びした感じだし、でもあのまんまじゃ説明不足かな…という感じだったんで。
もろに四カカです…(笑)
この話だけ読んでも分かるようにしたつもりではいますが、あくまでも連載「リフレイン」のお話しの、「プロローグ」という意味ですので、ついでにそっちも読んでいただけると…(笑)
6話の次に読んでいただくのがイイか、と…(笑)
スミマセン、注文の多い管理人で(笑)
話の始まりがむっちゃアレですし、ちょいと暗いですが…^^;
なんでもオッケーさ、な方、お付き合いくださいませ!
(書いてる方は、badendじゃないつもりです…^^;)
金髪を戦風になぶらせながら、彼は足元に横たわる、…今は物言わぬ亡骸となった、嘗ての愛弟子のかたわらにそっと膝を突いた…
★
「カカシ!! 赤子を四代目様の元へおとどけしろ!!ご命令だ!!」
暗部の上司にそう命じられたそのほっそりとした体躯の、キツネ面の暗部は、かすかに頷くと、懐に赤子を大事そうに抱え込んで、九尾の妖狐の巻き起こす戦塵の中に飛び出していった。
誰もが、命がけだった。
里を守るために。
仲間を守るために。
行け、といわれれば、躊躇わず、生還の見込みのない…四代目の元への使いに出ただろう。
しかし、その役目を果たせるのは、四代目の元までたどり着けるものだけ。
今の暗部に、ミナトを追跡できるのは、この一番年少の、彼の愛弟子だけだった。
誰も、好んでまだ子供、と言っていい年の暗部に、この役目をふったわけではなかった。
それは、勿論当の本人も知っていた。
命をかけることになんの躊躇もない。
しかし。
少年は何も守るべきものを持たなかった。
唯一、守りたかった彼の師は、今まさに命を捨てようとしている。
帰ってくると、一緒に生きていこうと約束してくれた、師によく似た名も知らぬ人は、ついに戻ってこなかった。
ならば。
…ナルト…オマエだけでも…幸せに…生きろ。
少年は懐の赤子にそっと話しかけ、ツバメのような身ごなしで、荒れ狂う妖気の中に飛び込んでいった。
彼には、師にも明かさない決心があった。
少年自身も師に仕込まれ、封印術を使う。
自分に妖狐を封印すれば…
その術式を自分のチャクラで補助すれば。
─先生は死なずにすむ。…この子に父親を残してやれる…
多分、自分は九尾の尾獣の器としては、脆すぎるだろう。
しかし、自分の死とともに、尾獣も道連れにできる…
「カカシ…何をしているのかな…」
戦場の闘気をまとったままの四代目火影は、自分の体に封印の術式を写し取った愛弟子をみて、剣呑な声をだした。
「俺は赤子に術式を写せ、と言ったんだよ。」
「…赤子じゃなくて…ナルトです。先生の一人息子です…」
「そう…なら、ナルトに術式を写す。ここに寝かせなさい。」
少年は、赤子を懐に抱いたまま、じりじりと下がる。
「そ、んな事をしたら、先生が…」
「承知の上だ。そのための火影なんだからね。」
「…俺に封じてください。俺なら、封印式を助けられる。それなら、ナルトも先生も死なないで済むじゃないですか!」
火影の表情は揺らがなかった。
「それでお前が俺の代わりに死ぬ、というの…?俺が承知すると思う…?」
「先生…!!」
「…何度も同じ事を言わせるなんて…カカシ、物分りが悪いよ…ナルトをここに早く寝かせるんだ。」
廃屋の外ではもう猶予のないほどの揺れが続いていた。
ぐずぐずしていては、手遅れになる。
有無を言わさず少年の手から赤子を攫うように抱き上げた年若い火影は、直ぐに封印の術式を発動し始めた。
「先生、止めてくださいっ!!」
「…カカシっ!いい加減にしないかっ!」
少年の襟首を掴みとめ、赤子に覆いかぶさって止めようとする弟子を、火影は珍しく、いらついた様子でしかりつけた。
いつも聡明で、並みの大人よりもはるかに沈着冷静な弟子が何故頑是無い幼児のように駄々を捏ねるのか。
「先生…また、俺だけ…」
「…?カカシ…?」
「…また、俺だけ、残すつもりなんですね…?」
「…カカシ……」
「先生も一度残されてみるといい!貴方のいない里で、貴方を思いながら、一人で生きていく俺の事なんか…考えてもいない…」
「……!!」
大きくなってくる揺れの中で、小さな少年の像のように立ち尽くす愛弟子を、若い火影は呆然と見やるしかない。
─カカシ…お前の傷は…こんなに深かったのか…
「きっと戻るって…自分のために生きろって…そういっておきながら戻ってこない奴を待って…待って…そうしてもう戻らないんだろうとやっと諦めた今になって……先生にまでおいていかれるんですか…」
「……カカシ…」
「俺は、先生、貴方が思っているほど…強くない…!」
彼の若い師が、何かいおうとして言葉にならず、そっと手を伸ばして、そのキツネ面に触れたとき。
地面から突き上げられるようなゆれが襲い、二人は反対の方向に吹き飛ばされた。
廃屋の屋根が、長大な尾の激しい乱打を受けて軋む。
「…っち…!」
四代目が、そちらに一瞬気を逸らしたとき、反対側の窓から、深紅のチャクラをまとった巨大な尾が横殴りに叩きつけられた。
───ナルト!!!!
少年の体が、尾の前に飛び出し、一瞬早く赤子を攫いあげる…
若い火影の青い目に、小さな赤子を懐に抱え込んで、丸くなって弾き飛ばされていく…大切な彼の愛弟子の姿が映っていた。
懐の赤子をかばって受身を取ることも出来ず、全ての衝撃を細い体で受け止めた少年は、床に落ちていくときも自分の体を下にしていた……
少年の体の下の地面が真っ赤に染まっていく。
年若い師は、その光景を無言で見つめるしかなかった…
★
赤子に写した封印式が発動し始めた。
九尾の抵抗はまだ油断がならなかったが、これで、ナルトの中に封じられるだろう。
そうして、術式が完成し、その仕上げのように彼の命を代償としてさしだす、その須臾の時間が、ミナトに残された最後のチャンスだった。
ミナトは体温を失っていく細い体を胸に抱き寄せ、そっと暗部面を外した。
あらゆる苦痛から開放されたかのように、その表情は安らかでさえあったが。
─甘いよ、カカシ。俺が、目の前でお前を逝かせると思うの…?
目にかかる銀色の前髪をかき上げ、その白い額にそっと唇を落とす。
里長として、今、自分はできること全てをなし終えた。
ならば。
死が訪れるまでの、ほんの少しの時間、全てをお前のために使おう。
それだけしか、もうお前にしてやれることはないけれど。
お前のために。
俺は禁忌を犯す。
因果律さえ、曲げてやろう……
時空を飛ぶために、あの谷の仙人に誓った。
起こった事象にけっして干渉はしないと。
けれど。
お前のために、俺はその誓いを破ろう。
ただ、お前のためだけに。
残された僅かなチャクラで、ミナトは再び空間を裂く。
九尾の因果に囚われた自分達親子の巻き添えのようにして命を落とした、最愛の弟子を救うために……
そうして彼は見つけるのだ。
ドッグタグを握り締めたまま、その空間に落ち込んできた自分にそっくりの陽気な青年を………
end