花に清香 月に影


〜願わくば花の元にて… 後編〜


ナルト、ナルト、と、掠れて壮絶に色っぽい声で名前を呼び続けられ、貪り喰らいたい衝動と闘うのが大変だった。


欲求のまま、恋人を抱いてしまっては、またしても…漸く退院してきたばかりだというのに…動けなくしてしまう。

倒れて意識のないこの人を見るのはもうイヤだった。
例え…それが、達した後の甘いものであったとしても。

ゆっくりと…長く…楽しもう…

自分の紅のチャクラに恋人を包み込み、まるで楽しみに取っておいた獲物を、ゆっくりと味わう肉食の獣のように、白く引き締まった恋人の体を更に開いてゆく。



チャクラの触手で上体を少し起こして抱え寄せたまま、長い指でカカシの中を探った。
長い爪で傷つけないように、慎重に指の爪を短く揃える。

はぁっ はぁっ 

仰け反ったまま、性感の浪をやり過ごしているのだろう、カカシの荒い息が、益々ナルトを興奮させる。
目の前のカカシの性器が、立て続けの放出で濡れそぼって震えているが、それに触れずにナルトはただ一心に彼の中を探った。


ずっと知らなかったことがある。
知ろうともしなかったことがある。

知られたくないんだろうから、を、言い訳に、大事だ、大事だと言っていた恋人の、強固な意志で覆われた癒されない傷に眼を瞑ってきてしまっていた。


いつも飄々と笑顔を絶やさない…
けれど、その口布の下で、唇をかんで、苦しみに耐えてきたたのではなかったか。


失った友の代わりに、彼が生きていればしただろうことを成しながら…
優しさゆえに…生きる事を諦めてしまった父の代わりに、里をささえながら…
師に託された里を…影になって見守りながら…

ならば カカシは…この人本人は、何を幸せとして…何を望んで生きてきたのだろうか。

これだけの忍でありながら、里の(いしずえ)として身を沈めることにいささかの躊躇いもない、たとえようのない(つよ)さ…


この人を幸せにしたい。

何も望まないこの人を。

この人に望まれる男になりたい。


好きだと言ってくれた。
照れくさそうに…でも、真っ直ぐ眼を見つめて。

「先生…オレも先生が大好きだってば…」

「お、おまえ…人を…こんな格好に…しといて…何…言ってんだ…あ…!」

せっかくの愛の囁きも、そんな風に無粋に抗議されてナルトは苦笑した。
確かに。

両手を上に持ち上げ、両足は膝をつかんで大きく広げて固定している。勿論、九尾の紅いチャクラが。

「大好きなもんは大好きなんだってば…。どんなカカシ先生でも大好きだってばよ!」

『どんな』…今のこの姿をさしているようで、でも…彼の隠してきた全てを暗に指している…その言葉の意味を、賢い年上の恋人は察したのか、赤面しながらも…嬉しそうに笑った。

「…っ…こんな格好で…言われても…恥ずかしいばっかりだよ…」

「そんなにくったらしいことを言う口はこうしてやるってば!」

「んんっ!」

大きな長い指でカカシの中をまさぐったまま、ナルトはカカシの後頭部を抱え寄せると深く口を重ねた。

長い舌で恋人の口の中を蹂躙しながら、片手で更に体の奥を探り、もう片手で硬く立ち上がり、濡れそぼったものをきつく掴み締める。

んんん……

苦しそうに体を捩ろうとするのを許さず、中の…

「せんせ…ここ、だろ…?」
「あ!!あっあっあっ!!」
「イイ…?カカシ先生…先生…?」
「…い…あ…イ、イク…も、イきたい…」
そう言って、もう少し強い刺激を強請られるが、

「まだ、も、ちょっと…」
そういって、あと少しで達する所をはぐらかしてしまう。

「ううっ…ナルト…!」

「せんせ、一緒にいこ…?俺を中に入れさせて…!」

そういわれて、カカシは驚いたように眼を見張った。

「せんせ、オレ、まだ入れさしてもらってねぇってば…!」
「な…え…も、俺、そんなに持たない…よ…!」
「大丈夫 大丈夫、加減するってばよ!力抜いてて先生!」
「ナ、ナルト…!む、無茶はしないって…」
「先生、オレも先生の中でいきてぇんだってば…!!」

そういいながら、ナルトはカカシを抱えあげると、うつぶせにしてのしかかっていった。

この体勢だと、顔が見られないのがもったいないのだが、体にかかる負担は随分減るはずだ。

それに、乳首も俺の手で触ってやれるってば!


両手で後ろから胸を抱きしめ、肩口に顔を埋め、肌の香りをかぐようにしながら、ナルトはカカシをチャクラの腕をつかい、膝裏で抱え上げた。

小児が小用を足すようなその格好に、当然猛烈な抵抗があったが、幾本もからむ紅い腕に遮られ、ゆっくりと大きく硬く育ったナルト自身の方へとうながされる。
前からまわしたナルト自身の指が、カカシの熱く()けた後ろの孔を広げ、ナルトの先端を導く。

「あ、ナルト!ナル…!!」
「大丈夫だってカカシ先生…ゆっくり…無茶はしねぇって…」

熱いカカシの体内に、徐々に迎え入れられる感覚に、ナルトは息を詰めた。

何度経験しても、この瞬間が最高だ…

とナルトは思う。だが、入られるカカシはどうなんだろうと胸前で抱き寄せた恋人を後ろからそっと覗き込もうとすると、ぷい、と顔を背けられてしまった。

「せんせ。顔、見たい…」
「……」
「なあ、先生、顔、見せて…?」
「…お、俺の顔なんて…見て…どうする……」
「気持ちよくなってる先生の顔が好きなんだってば!」
そうストレートに伝えると、目の前の耳が真っ赤になった。

「い、いでで…!せ、せんせ、そんなに締め付けたらいてぇってば…!」
「……わ、ワザとしてるんじゃ…」
「ゆるめてくんないと、動けねぇよ…!」
「………!」
「いつまでもこのまんまがイイの…?」
「……!ば…!」
「ば…?」
「あ、あ、あああ…ナルト……っ!!」

気持ちいいか…?と聞くと、こくこくと頷いてくれた。
もっと動いてイイか、と聞いても熱い息をこぼして拒まなかった。

「先生…、あ、煽っちゃだめだってばよ…!」
「あ、煽ってなんか…」

はぁはぁと荒い息で、肩口に仰け反る恋人を、背後からしっかり抱きしめて腰を使うナルトは、

「ううっ!先生…!俺、やっぱ…せんせが…スッゲー好きだ…!」
「ナ…ナルト…こ、こんなこと…しながら、言うの…よせ…!」
「な、なんで!」
「と、とまら…なく…あっあっあっ!!」
腕の中で体を震わせた年上の恋人は、足の間に熱いものを迸らせた。
「イったの、先生…?」
「う、ううっ…ナル…ト…!」
だが、ナルトがゆっくりこするカカシの情動は、まだ、とめどなく溢れていた。
「先生…カカシ先生…!」
いきなり突き上げるような愛おしさに、ナルトは我を忘れる。

木の葉の里で一番の忍が、急所をすべて自分にさらし、体内を蹂躙するに任せ…

「ナ…ルト…」

優しい声で呼んでくれる…唯、俺だけを…



「先生…ごめん…!やっぱ、俺…止まんねぇ……!!」



カーテンの閉められていない窓ガラスごしに庭の見事な桜の木が見えた。
自分の腕の中で…優しい顔で苦笑したカカシが、桜の木に重なって…映っていた…



おわり…!


Update 2008.12.20
参照:
梶井基次郎「櫻の木の下には」
謡曲「西行櫻」